兵庫県弁護士会会報(2021年1月号)に「神戸シティ法律事務所のコロナ対策」の記事が掲載されました
『兵庫県弁護士会会報 NO.242』に当事務所の弁護士 村上英樹が執筆しました「神戸シティ法律事務所のコロナ対策」と題する記事が掲載されました。
以下、その内容を掲載させていただきます。
「神戸シティ法律事務所のコロナ対策」
1 はじめに
新型コロナウィルス感染症の流行拡大は、当初の予想を超えて、緊急事態宣言・外出自粛など、普段の仕事そのものが普通にはできない状態を引き起こしました。
当事務所で取ったコロナ対策について、①執務体制(リモートワークなど)、②業務(コロナ対応の情報発信)に分けてご紹介させていただきます。
2 執務体制
(1)3月 対外的に感染対策を公表、実践
コロナの影響が本格的になってきたのは、今年3月でした。
そんな中、3月24日に当事務所は「コロナウィルス対策についてのお知らせ」を発表しました。
この中で、依頼者や顧客に皆様に対して、
- 法律相談についてできるだけ電話、メール、スカイプ、フェイスタイム等のご利用をお願いすること
- 発熱や体調不良の場合は予約の変更をお願いすること
- 会議室は換気を行い、弁護士はマスクを付けて対応すること
を伝え、基本的な感染対策を取る方針を策定・公表し実践しました。
(2)4月 所内基本方針、スプリット制の開始
4月になると、感染者数は急激に増加し、医療体制も逼迫するに至りました。
4月6日に事務所内では「新型コロナウィルス感染対策基本方針」を策定しました。
これは、
- 所内感染を防ぐための対策(所員各自の行動指針、3密回避など)
- 疑われる症状が出た場合、濃厚接触者となった場合の出勤・自宅待機について
など、事務所としてのリスク管理について定めたものです。
そして4月8日に緊急事態宣言が出されたことに対応して、当事務所は4月10日から所内を弁護士、事務スタッフともに2班に分け、別の班の者は一切顔を合わせないスプリット体制を取りました。
このスプリット体制は、BCP(事業継続計画)の観点から、仮に感染者が出たとしてもその者が属しない班は継続して稼働できるので、事務所機能を完全にストップさせることはない、という考え方のもとに組みました。
(3)4~5月 スプリット制・テレワーク下の執務
事務所の半数はテレワークという毎日になりました。
毎朝の朝礼も、テレワークの班はスカイプでつなぎ、オンラインとリアルの「ハイブリッド」型で行いました。
これまでオンライン会議に馴染みが薄かったので、当初は、家の中の様子や、メンバーの家族(村上の配偶者など)が思いがけず画面に映ったりするハプニングもありましたが、次第に日々「画面ぼかし」「バーチャル背景」が新しく投入されるようになり、朝礼のたびに変化が感じられました。
顧客の打ち合わせもスカイプ、次第にZoomの使用が多くなりました。
リアルでの面談のときも、元々、当事務所は来客用のお茶を出すことにもサービスとしてのこだわりを持っていましたが、感染リスクを防ぐため、サントリーの「お茶どうぞ」(195ml。可愛いサイズです。)に変えました。これは予想外に好評で、「新しい生活様式」を感じました。
弁護士も事務スタッフも一日おきに出所するという体制は、普段連続して事務所で執務するということからすると不便に感じられましたが、逆に、一日にやりきるべき仕事を見定め、始業前から段取りを決めること、打ち合わせを行うことの重要性を改めて実感する良い機会でもありました。
(4)6月以降
緊急事態宣言が終了した後は、スプリット制ではなく、全員が出所して執務する体制に戻しました。
ただし、執務中も基本的にマスクを着用し、昼食も一つのテーブルに多人数が集まらないようにするなど、感染予防に努めました。
警戒を緩めないことも大切でしたが、常時マスク着用で外出も行わないという生活が続き、「コロナ疲れ」にならないよう、所員皆が元気に自分を表現することも必要と考えました。
そこで朝礼では、毎日、弁護士も事務スタッフも日替わりで誰かが「一分間スピーチ」を行い、「自分が今ハマっていること」「感動したこと」などを発表し、仕事のことはもちろん生活全体に対するエネルギーを皆でチャージするよう努めました。
3 業務(コロナ対応の情報発信)
(1)4月8日 Youtube「神戸シティチャンネル」の誕生
裁判がストップし、また、顧問先企業の業務も通常どおりといかなくなりました。
そんな中、「新型コロナウィルスと労務~安全配慮義務の観点から~」(出演 高島、村上、高橋)という動画を作り発表しました。
緊急事態宣言が出され明日が見通しにくい時代の中、企業経営者の方々にとって、まさに今必要な情報を伝えるべく、緊急に作ったものでした。
(2)「新型コロナウィルスに負けない With you プロジェクト」(動画、ブログ)
通常の裁判業務がストップする中で、その分、情報発信をすることに努めました。
とにかく未曾有の混乱の中で多くの人々が不安を抱える中、弁護士が、人々が直面する課題について、問題点を整理して、コンパスの役割を果たす必要性を強く感じたからです。
「テナントの賃料」「資金繰り」「各種補助金」など多くの人々が直面するテーマについて、ブログ記事と動画をアップし、これらはFacebookなどSNSでも多くの方々にシェアしていただきました。
また、「電子契約」については、平田弁護士が動画や記事を連続して作成し、村上もオンラインセミナーを行うなど、コロナをきっかけにした新たなテクノロジーについての法律面の解説を行いました。
さらにコロナ下での株主総会について、高橋弁護士が、リアルとオンラインのバーチャル総会の適法性についてブログ記事で解説し、神戸新聞でもコメントをしました。
(3)オンラインセミナー
これまで当事務所では、主に顧問先を中心に事務所にお越し頂いてのセミナー(民法改正、働き方改革)などを実施してきました。
今春以降はこれを全てZoomで行うようになりました。
「電子契約」(村上)、「テレワークと労務管理」(高橋)、「業務委託契約」(平田)と行いましたが、オンラインセミナーになって、より多くの方に参加して頂けるようになりました。
4 終わりに
「喜びと笑顔に出会うために」が当事務所のモットーですが、コロナで皆がマスクをしなければならない中、その「笑顔」も目では半分しか見ることができない時代になりました。コロナ禍で世の中みんながしんどい思いをした。それは間違いありません。
ただ、制約がある中で見えた、未来に向けて弁護士や法律事務所が変わらなければならないこと、コロナ以前から課題だった「DX(デジタルトランスフォーメーション)」「働き方改革」などについて正面から向き合う機会を得ました。
現在もコロナの影響が続いており、オンライン会議のやり方、本格的にテレワークを機能させるために必要な記録のペーパーレス化その他について、日々試行錯誤しながら取り組んでいます。
このウィズコロナでの取り組みが、弁護士の働き方の革新、具体的には、年齢・性別・ライフステージを問わずに多様なメンバーが集まり、時間や場所にとらわれずに存分に力を発揮できる「新時代の法律事務所づくり」に繋がっていくよう、事務所挙げて歩みを続けていきたいと考えています。
(弁護士 村上 英樹)