第14回 新会社法(1)〜有限会社がなくなる〜

弁護士 井 口 寛 司

1 新会社法成立

 先の6月29日に新会社法が成立し、来年の4月1日から施行される見込みとなりました。会社法の現代語化という形で注目を集めていますが、大きな改正点は次の5点であると言われております。すなわち、@有限会社の廃止と株式譲渡制限会社に関する法制度の改正、A会計参与制度の新設、B合同会社制度(米国のLLCモデル)の新設、C合併等組織再編の自由化、D剰余金分配手続等の自由化です(平成17年4月20日衆議院法務委員会参考人質疑議事録)。そこで、このシリーズにおいては、今後数回にわたり、中小企業に大きく関連するのは@ないしBについて中小企業の観点から新会社法のポイントを解説させていただき、来年の施行にそなえていただきたいと思います。

2 中小企業と株式会社

 これまで中小企業のほとんどは、なるほど株式会社として設立はしているものの、その後は、特段商法を意識することもなく運営されているという実態がありました。それは、どうしても有限会社=小さい会社、株式会社=大きい会社というイメージがあり、有限会社は株式会社に比べて信用力がないと見られてしまうことから、少しでも信用があるようにしたいという経営者が、規模にかかわらず株式会社を選択していたからです。しかし、その結果、名目的な取締役や監査役をおかれることで無用なコストが発生したり、相続等、経営者間の対立などの不測の事態が生じたときに、実態とかけはなれた商法を適用して解決を図らなければならないというジレンマを生んでいました。

3 有限会社法の廃止

 そこで、今回の新会社法では、有限会社法を廃止したうえで、前述した中小企業の実態にあった形の株式会社を認めることで、すべて「株式会社」に統一することでまとめられました。この結果、新会社法の施行日以降は、有限会社は廃止され、新たに有限会社の設立はできなくなったのです。つまり、有限会社という会社は「法律上」なくなり、会社法上は株式会社として存続することになりました(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律・第1章第2節第2条第1項。以下「整備法」といいます。)。

 このような会社を「特例有限会社」といいます。そして、会社法施行後もこれらの会社が維持されるための定款や株主総会や取締役などの規定において経過措置が定められました。

4 特例有限会社として残る株式会社

 しかし、現在の有限会社が会社法では株式会社になっていても、商号は「有限会社」のままとなります。
 したがって、この特例有限会社が、商号上も株式会社になろうとすると、会社法施行後において定款を変更する必要があり、その結果「株式会社」として登記することができるようになります(整備法第1章・第2節・第3款・第45条第1項)。この場合は、本店の所在地においては2週間以内に、その支店の所在地においては3週間以内に、当該特例有限会社については解散の登記をし、同項の商号の変更後の株式会社については設立の登記をすることになります(整備法第1章・第2節・第3款・第46条)。

 これにより、名実ともに新会社法の株式会社となることができます。

※ 次回は、小規模閉鎖会社に関する取締役、監査役などの機関設計について解説いたします。