第13回 民法の改正について
弁護士 石 橋 伸 子
「民法の一部を改正する法律」が平成16年12月1日に公布され、平成17年4月1日から施行となりました。この改正の主な要点は、保証債務に関する改正(@)と表現・表記の現代語化(A)の2つです。
1 表現・表記の現代語化について
民法典をご覧になったことのある方はお気づきだったでしょうか、改正前の民法では、第4編(親族)第5編(相続)の部分は、口語体でかつ漢字・ひらがなで表記されていましたが、第1編(総則)、第2編(物権)、そして第3編(債権)は、文語体でかつ漢字・カタカナで表記されていました。
この度の改正では、民法全体の表記を、すべて口語体でかつ漢字・ひらがなで表記し、また「無主ノ」を「所有者のない」(第239条)と表現する等、難解な表現を平易に改め、さらに各条文の頭には見出しを入れる等、「分かりやすい民法」をめざした民法の現代語化が図られました。
2 保証債務に関する改正について
(1) 改正法では、保証契約はすべて書面、あるいは電磁的記録によってしなければ効力が発生しないことになりました(第446条第2項、第3項)。
例えば不動産の売買契約等、重要な契約をするときに、契約書を作らないことは稀だと思われます。しかし、民法では、口頭であっても当事者の意思の合致があれば、契約は成立し、書面はその契約が成立した旨の証拠に過ぎないと考えられています。
ところが、この度の改正法では、保証契約についてのみ、保証契約書あるいは電磁的記録がなければ、当事者同士で保証契約の成立を口頭で確認していても、その契約は無効だということになったのです。
保証人の保護を図ったものですが、民法全体の体系からは異質な規定となっています。
(2) 貸金等債務の根保証について規定が新設されました(第465条の2〜第465条の5)。
上記新設条項によれば、債権極度額(元本、利息、遅延損害金等総額に関する限度額)を定めない貸金債務の根保証契約は無効です(第465条の2第2項)。
また、貸金等債務の根保証契約において、元本確定期日を根保証契約締結の日から5年を超えた日とする場合は、その元本確定期日は無効であり(第465条の3第1項)、元本確定期日が決められていない根保証契約の場合と同様にして、その元本確定期日は、根保証契約締結の日から3年となります(同法第2項)。すなわち、原則は3年で、最長は5年という期間が定められたことになります。
ただし、これらの規定は、保証人が法人の場合は除かれています。
ところで、債権極度額の定めがない場合、あるいは元本確定期日の定めがない場合、さらには元本確定期日の定めが無効とされる場合(第465条の3第1項、第465条の3第3項)には、当該保証人となった法人が取得する主債務者に対する求償権について、個人が保証人となっている場合、法人である保証人が締結した根保証契約は有効ですが、その法人と個人との間の求償権保証契約は無効になります(第465条の5)。
(3) 経過措置について
@ 保証契約が書面によらなければ無効だという規定は、改正法施行前に締結された保証契約には適用されません。
A 限度額(債権極度額)の定めがない根保証契約が無効だという規定も、既存の根保証契約には適用されません。
B 改正民法の施行日から3年を経過しても元本が確定しない既存契約は、施行日から3年後の日が元本確定日となります。
C 極度額及び元本確定期日の定めがある既存契約については、改正民法の施行日から5年を経過しても元本が確定しない場合に限り、施行日から5年後の日が元本確定日となります(Bの例外)。
D 既存の貸金等根保証契約については、改正法施行後において、元本確定日を先に延ばす変更はできません。
E 法人が根保証契約をした場合であって、その法人が主債務者に対して取得する求償権債務を個人が保証した場合についての、その個人の保証債務の範囲についても、根保証契約における主たる債務の元本確定期日が、改正法施行日から3年ないし5年に発生する元本に限定する経過措置が定められています。