第4回 強制執行が変わる

弁護士 高 島   浩

1 財産開示制度の創設

債務者が貸付金や売掛金を支払わない場合、債権者は、勝訴判決等を得たうえで、最終的には強制執行をすることとなります。

しかし、強制執行を申立てるには、対象となる財産を特定する必要がありますが、債権者にとって債務者のめぼしい財産を発見し、これを特定することは、決して容易ではありません。

そこで、平成16年4月施行の改正民事執行法により、債権者が債務者から財産の有無を直接聞くことのできる財産開示手続が創設されました。

2 手続を利用するためには

財産開示手続は、債務者のプライバシーを公開するものですから、その申立をすることができるのは、確定した勝訴判決のように、執行力ある債務名義(確定前の仮執行宣言付判決、仮執行宣言付支払督促、公正証書は含まない)を有する金銭債権者や、一般の先取特権者であることを証明した者に限られることとなりました。

したがって、訴訟提起前に仮差押えをしようとする債権者は、この制度を利用することはできません。

また、実際に手続が開始されるのは、申立をする債権者が、実際に強制執行や担保権を実行したにもかかわらず完全な弁済を得ることができなかった場合や、今後強制執行しても判明している財産だけでは完全な弁済を見込めないことを疎明した場合に限られます。

さらに、この手続により債務者の財産が開示されると、以後3年間は、同じ債務者に対して再度の開示を求めることはできません。

3 財産開示を実効性あるものとするために

裁判所は、開始の要件がすべて整っていると判断した場合、期日を定めて債務者(又はその代表者)を呼び出し、宣誓させたうえ、強制執行のために必要な事項を陳述させます。

ここで、債権者にも債務者に対する質問権は認められていますが、実際の質問は主に裁判所が行うこととなりますので、債権者は、債務者が不正確な陳述をしないように、予め債務者から裁判所へ提出された財産目録を閲覧し、事前に裁判所宛に債務者に対して質問したい事項を提出しておく必要があります。

4 最後に

このような財産開示手続も、陳述しなかったり虚偽の陳述をした債務者に対して30万円以下の過料が課されるに過ぎないこと、財産開示手続により新たな財産が発見できるとは限らないことから、強制執行の実効性を必ずしも保証するものではありません。

しかし、債務者が財産を隠し持っていると疑われる場合に、これまでになかった手段を債権者に付与する点で、意義があるといえます。

なお、債権者にも、財産開示手続で得た情報を目的外に使用してはならない義務が課せられている点には注意する必要があります。