第2回 家事事件が変わる

弁護士 伊 原 由 美

1 はじめに

平成15年の離婚件数は28万6000組であり、およそ2分間に1組の割合で離婚をしていると言われています。

人事訴訟法、執行法等の改正(今年4月1日施行)により家事事件の取り扱いが大きく変わりましたので、今回は、家事事件の中の「離婚手続き」及び「養育費の履行確保」における改正点を説明致します。

2 離婚手続について

離婚の成立方法としては、@夫婦の話合いによる「協議離婚」、A調停による「調停離婚」、B裁判による「裁判離婚」があります。@の協議離婚が最も多くなされていますが、協議が整わない場合Aの調停の申立をし、調停が不成立になればBの裁判離婚を求めて訴訟提起することになります。

今回の法改正では、Bの裁判離婚の手続きが変わりました。

まず、離婚訴訟を提起する裁判所が地方裁判所から家庭裁判所になり、また管轄が当事者の合意した地あるいは当事者いずれかの住所地を管轄する家庭裁判所になりました。例えば、神戸市で生活していた夫婦が別居するに至り、夫婦の一方が神戸市を離れて生活している場合、従前は、神戸地方裁判所のみが管轄裁判所でしたが、一方が遠方で居住しているなど訴訟提起が困難な場合があったことから、夫又は妻の住所地の家庭裁判所に訴えることができるよう改正されました。

次に、裁判所が適切な判断をするための情報収集手段として、家庭裁判所調査官に事実調査を依頼したり、和解の場で参与員に意見を聞けることになりました。

3 養育費等の定期給付債務の履行確保について

例えば、「甲は、乙に対して、丙の養育費として、月3万円宛、毎月末日限り支払う。」という債務名義(判決、和解調書、公正証書等)があるとします。この場合、乙は、甲の養育費不払いを理由に、甲の給料を差し押えることができます。

しかし、従前は、未払額の限度でしか差押えが認められませんでしたが、今回の改正により、未払額のみならず、期限が到来していない養育費についても差押えができることになりました。つまり、一度養育費を支払わなかったことにより、未払額と今後支払が予定されている残りの養育費を含めた金額について給与に対する差押えができることになるのです。なお、差押えの期間については、法律上定めがないことから今後の運用を待つことになりますが、ある程度長期にわたり認められる可能性があります。