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第27回 アルコールハラスメント
弁護士 高 橋 弘 毅
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「アルコールハラスメント」という言葉をご存知でしょうか。今回は、この意外と身近な「アルコールハラスメント」についての法的責任を概観しようと思います。
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「アルコールハラスメント」とは、アルコール飲料に絡む嫌がらせ全般をいい、具体的には、@飲酒の強要(上下関係、部の伝統、囃したてなどにより心理的な圧力をかけ飲まざるを得ない状況に追い込むこと)、A一気飲みをさせる、B意図的な酔いつぶし(初めから酔いつぶすことを意図して、袋、バケツ、ビニールシートを用意するなどして飲み会を行う)、C飲めない人への配慮を欠くこと(体質的に飲めない人や飲みたくない人に飲酒を勧めるなど)、D酔って絡むことをいいます。
一気飲みコールをやっている場面や、古典的ですが、上司や先輩が「俺の酒が飲めんのか。」と言って、部下や後輩に飲酒を迫っている場面など身に覚えがある方は多いのではないでしょうか。
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それでは、本題に入り、法的責任について概観していきましょう。
(1) 刑事責任
刑事責任を問われるおそれがあるのは、酔い潰したときや、さらに急性アルコール中毒などが原因で死に至ってしまったときです(無理やり口を開けさせて飲ませるなど強要罪(刑法第223条1項)が成立する場合は格別、単に飲ませるだけでは刑事責任までは問われにくいでしょう)。
まず、意図して酔い潰した場合は傷害罪(同第204条)、意図して酔い潰したが、意図せず死亡させてしまった場合は傷害致死罪(同第205条)がそれぞれ成立します。また、酔い潰した者でなくとも、現場で囃したてを行うなど、酔い潰しを助長した場合は現場助勢罪(同第206条)が成立します。
次に、意図せず酔い潰してしまった場合は過失傷害罪(同第209条)、さらに死亡させてしまった場合は過失致死罪(同第210条)がそれぞれ成立します。
最後に、酔い潰れた者を引き受けた者が必要な処置(救急車を直ちに呼ぶなど)をしなかった場合は保護責任者遺棄罪(同第218条)、さらに死亡させてしまった場合は保護責任者遺棄致死罪(同第219条)がそれぞれ成立する可能性があります。
アルコールハラスメントが行われた場合において、常に刑事責任が問われるわけではありませんが、上の各場合に該当すると評価される場合には、このような刑事責任を問われる可能性があるのです。
(2) 民事責任
刑事責任を問われうる場合は、民事上も、本人ないしその遺族から不法行為に基づく損害賠償責任(民法第709条)を問われることがあります。慰謝料請求(同条)も考えられるところでしょう。また、飲み会において責任者的地位にあった者については、同じく安全配慮義務違反に基づく損害賠償責任(同第415条)が問われることもあります。
会社や大学も他人事では済まされません。会社や大学のクラブなどの飲み会において事故が起こった場合は、会社や大学も、同責任を問われる可能性があります。飲み会の趣旨、場所、会社や大学の指導状況・体制、前例の有無、団体の自主性、当人の判断能力の水準などに照らし、当該具体的事故場面において、会社や大学が従業員や学生を監督していなければならなかったと認められる場合には、会社や大学にも安全配慮義務違反が認められるのです。一般に、会社や大学側に法的責任が認められることは少ないとはいえ、飲酒事故に対する世間の目が厳しくなり、厳罰化傾向にある昨今の社会にあっては、会社や大学の安全配慮への注意義務が大きくなり、法的責任が認められることが今後多くなってくるかもしれません。会社や大学にあっては、「たかがお酒」と安穏とすることなく、団体の危機管理として、飲酒に関する指導体制等を見直すことをお勧めします。
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現在、飲酒を原因とする悲しい事故が次々と起こっていますが、アルコールハラスメントを含め、一人一人が飲酒について再度考えるべき時期に来ています。
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