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第22回 再生紙偽装問題とグリーン購入法
弁護士 芝 崎 准 一
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耐震偽装、食品偽装に続き再生紙偽装が大きな問題となっています。事の発端は、一部の製紙業者が、年賀はがきの古紙配合率を偽っていたというものでしたが、今では、一部の業者だけではなく製紙業界全体が、年賀はがきにとどまらず再生紙全般について古紙配合率を偽っていたことが明らかになりました。これまでの耐震偽装や食品偽装とは異なり、製紙業界全体に「暗黙の了解」があったとする報道は、消費者に大きな衝撃を与えるものでした。
ただ、これまでの偽装と趣が異なるところは、各製紙業者は、古紙配合率を偽装することにより表示より「高品質な」再生紙を製造し、消費者は表示より「高品質な」再生紙を購入したということです。すなわち、建物の倒壊や健康被害のような消費者の安全を害する結果を招くものではなく、むしろ品質の点に限れば消費者は期待以上のものを手にしたということもできるでしょう。
■2
こうした一連の問題に関連し、環境省がいわゆるグリーン購入法(正式名称:国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律)の運用を見直す方針を固めたという報道がなされました。ご存じの方もおられるかと思いますが、いわゆる「グリーン購入」とは、消費者や事業者が、物品を購入しまたはサービスの提供を受けるにあたり、品質や価格だけではなく環境のことを考え、環境負荷の低減に努める事業者から優先して環境負荷ができるだけ小さい製品を購入し、またはサービスの提供を受けることをいいます。
そして、グリーン購入法は、環境への負荷の低減に資する原材料や物品、または製品、サービス等を「環境物品等」と定めた上で(第2条)、国や独立行政法人等に物品やサービスの調達にあたり環境物品等を選択する責務を負わせています(第3条)。また、同法は、国に対し、環境物品等の調達の推進を図るための方針を定めなければならないと規定しており(第6条)、この規定に基づいて、現在、国や独立行政法人等が重点的に調達を推進すべき環境物品等として、文具やOA機器、家電製品など17分野に渡る222品目が指定されその判断基準が規定されています(例えば、コピー用紙については古紙配合率が100%でありかつ白色度が70%程度以下であること、印刷用紙であれば古紙配合率が70%以上であること等)。
■3
ところで、この法律は、上述のとおり、国や独立行政法人等に対して義務を課すものであり、物品の製造業者や販売会社、またサービスの提供業者に義務を課しその行為を規制するものではありません。したがって、今回の問題を例にすれば、製紙業者に一定の古紙配合率以上の再生紙を製造する義務を負わせるものではなく、また、印刷業者に国その他の購入者に対し一定の古紙配合率以上の再生紙を販売納入しなければならない義務を負わせるものではありません。ゆえに、今回、古紙配合率を偽っていた製紙業者が同法の規定に違反していたという事実はありません。
しかし、グリーン購入という言葉を知らなくとも、環境に配慮して環境負荷の小さい物品を優先的に購入するという行為は広く行われていたことであり、環境配慮型商品(エコ製品)に対する信頼を揺るがした影響は極めて大きいといえます。今後、再生紙だけではなく再生プラスチックや再生繊維などの原料を含むエコ製品全般について表示内容の正確性が問題とされ、奨励されるべきエコ製品の購入が手控えられたり、表示内容の正確性を担保するために第三者機関の認証を得ることが必要になるなど製造コストが高まるおそれがあります。
前述のとおり、今回の再生紙偽装による購入者の損害は顕在化していないかもしれませんが、購入者の信頼を裏切り、ひいてはエコ製品に対する社会的信用を失墜させた責任は重く、また製紙業界が失った信頼も大きいといわざるを得ません。
以上
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