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第3回 迷惑メール
弁護士 芝 崎 准 一
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先日、新聞で、出会い系サイトやアダルト情報を広告する迷惑メールが猛威を振るっており、特に、日本国内の防御対策が及ばない中国を中心とする海外発のメールが急増しているという記事を見かけました。記事によれば、財団法人日本産業協会が設置するおとりパソコンが今年10月に受信した迷惑メールは、1か月あたり約6万1000通と過去最高を記録し、1年前の約2.5倍に達したということです。そして、その内訳としては、海外発のメールが9割以上を占め、その多くが中国から発信されていたということです。
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現実に、多くの方がパソコンや携帯電話で迷惑メールを受け取り、不快な思いや消去など面倒な処理を強いられていることと思います。また、迷惑メールに対しても受信料がかかる場合や、迷惑メールにより受信容量の多くが奪われ他の必要なメールの送受信に支障をきたす場合すらあり、放置されてよい問題ではありません。さらに、迷惑メールの中には広告先に接続しただけで身に覚えのない請求をされてしまう「架空請求メール」やクレジットカード番号等個人情報を盗む「フィッシングメール」といわれるものも存在し実害が生じているようです。
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こうした迷惑メールを規制する法律としては、「特定商取引に関する法律」(経済産業省が所管、略称:特定商取引法)と「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」(総務省が所管、略称:特定電子メール法)があります。
特定商取引法は、以前拙稿にてご紹介いたしましたとおり、訪問販売や通信販売、継続的役務提供に係る取引等を規制し、取引の公正と購入者等の損害の防止を目的とする法律です。同法は指定商品制を採用していますので、全ての迷惑メールが規制の対象となるわけではありませんが、出会い系サイトに関するものは、同法の指定役務である「結婚又は交際を希望する者への異性の紹介」に、またアダルト情報に関するものは指定役務である「映画、演劇、音楽、スポーツ、写真又は絵画、彫刻その他美術工芸品を鑑賞させ、観覧させること」に該当するため、通信販売の広告規制の適用を受けることになります。具体的には、@メールの表題部に「未承諾広告※」と表示しなければならず、A本文の最前部には、〈事業者〉という表示に続けて、a.事業者の氏名・名称やb.受信拒否をするための電子メールアドレス、c.受信を拒否する旨及び受信者のメールアドレスを通知すれば広告メールの提供が停止されることを表示しなければなりません。そして、広告メールの受信拒否をした者に対する再送信が禁止されており(「オプトアウト規制」といいます。)、これに違反した場合には主務大臣の指示や業務停止命令といった行政処分の対象となります。
これに対し、特定電子メール法は、第1条の「目的」において、「一時に多数の者に対してされる特定電子メールの送信等による電子メールの送信上の支障を防止する必要性が生じていることにかんがみ」と謳い、電子メールの送信の適正化を図り、高度情報通信社会の健全な発展に寄与することを目的として制定された法律です。同法でも、特定商取引法と同様に、@メールの表題部に「未承諾広告※」と表示しなければならず、A本文の最前部には、〈送信者〉という表示に続けて、上述a.ないしc.の表示がなされなければならないとの規制並びに受信拒否者への再送信禁止の規制がなされています。さらに、特定電子メール法では、多数の電子メールアドレスを自動的に作成する機能を有するプログラムを用いて作成した架空電子メールアドレスに対して送信することが禁止されています。これらの特定電子メール法の規制に違反した場合、総務大臣の措置命令が出されることとなり、この措置命令に違反した場合には刑事罰の適用を受けることになります。
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このように迷惑メールに対する法律の規制はありますが、「未承諾広告※」と表示されていない違法なメールが氾濫していることからも明らかなように、かかる規制のみでは対策が十分とはいえません。実際のところ、消費者が受信拒否のメールを送れば、実在する自身のメールアドレスを伝えることになり、新たな広告メールの攻撃にさらされる危険があることから、やむなく迷惑メールの受信をやり過ごしている方も多いようです。
政府は、さらなる対策として、国際連携を進めることや、受信者の請求や承諾がない限り原則として商業広告の送信を禁止する「オプトイン規制」の導入など抜本的な法改正を検討しているということですが、迷惑メールを発端とする出会い系サイトの利用などから誘拐事件や監禁事件など犯罪行為に繋がる危険もありますので、早急な対応が望まれます。
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