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第15回 特定商取引に関する法律 Part2
弁護士 芝 崎 准 一
第13回に引き続き、特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」といいます。)についてお話しいたします。
前回は、本年4月3日に、英会話学校に対する最高裁判決が出されたことを受け、特定継続的役務提供契約を中途解約した場合の損害賠償額の制限についてお話ししました。この特定継続的役務提供とは、訪問販売、通信販売、電話勧誘販売等と並んで特定商取引法で規制される取引です。
今回は、この特定継続的役務提供に対する諸規制についてより広くお話ししたいと思います。
■1
まず、特定の業者から長期に渡ってサービスを受ける契約といえばいくつもの契約が頭に浮かぶことと思います。しかし、全てのこうしたサービスが特定商取引法の規制を受けるのかといえばそうではなく、同法の規制を受ける特定継続的役務提供は政令で指定されることになっています。現在、政令で指定されているのは、@エステティックサービス、A語学教室、B家庭教師等の在宅学習、C学習塾、Dパソコン教室及びE結婚相手紹介サービスの6業種です。いずれも、サービスの内容・質・効果を客観的に判断するのが難しく、これに乗じて誇大広告や虚偽広告が行われやすい、長期的な契約であって契約金額が高額になりやすいという特徴が当てはまるといえるでしょう。@ないしE以外の業種では、「社会人向けの資格講座」や「育毛サービス」に関してトラブルが報告されているようですが、未だ指定はなされていません。
■2
では、特定商取引法では、どのような規制がなされているのでしょうか。
このたび英会話学校に対する行政処分に関連して、マスコミ報道がなされたのは、a書面記載の不備、b誇大広告、c不実告知、d事実不告知、e役務提供契約の解除によって生じる債務の履行拒否等です。その他の規制としては、f威迫・困惑の禁止、g迷惑な勧誘の禁止、h判断力不足に乗じた販売の禁止、i適合性の原則違反等があります。
例えば、年間を通じて入学金を全額免除していたにもかかわらず、期間中に入学すれば入学金を全額免除するというキャンペーンを行い、著しく有利であると誤認させた場合には、b誇大広告の禁止規定に違反します。また、多くの教室でレッスンの予約が取りにくい状況を把握していたにもかかわらず、勧誘時にこうした事実を告げていなかった場合には、d事実不告知の禁止に違反することになります。
■3
役務提供事業者が以上の行為規制に反した場合、いかなる制裁を受けるのでしょうか。また、消費者はいかなる効果を主張することができるのでしょうか。
まず、いずれの場合にも主務大臣または都道府県知事は、違反した役務提供事業者に対して必要な措置をとるべきことを指示することができ、また1年以内の期間に限り、業務の全部または一部を停止すべきことを命じることができます(行政処分)。このたび英会話学校には、経済産業省より業務改善命令が出されるとともに、特定の業務について業務停止命令が出されるという厳しい処分が下されました。
次に、さきほど列挙した規制のうち、a書面記載の不備、b誇大広告の禁止、c不実告知の禁止、d事実不告知の禁止、f威迫・困惑の禁止に違反した場合には、懲役刑や罰金刑に処せられることがあります(刑事罰)。
また、役務提供事業者が、c不実告知の禁止、d事実不告知の禁止に違反した勧誘を行い消費者が誤認して契約の意思表示を行った場合には、消費者は、契約を取り消すことができ、締結した契約が当初から無効であったことを主張することができます(取消権)。つまり、消費者が代金を未払いであればこれを支払う必要はなくなりますし、支払済みであれば代金を返還してもらえることになります。このように、いわゆるクーリング・オフを行使することができない場合でも、c不実告知の禁止、またはd事実不告知の禁止に違反する行為があれば、消費者は契約の効力を否定することができますので、契約締結の経緯にこれらの行為があったか否かは極めて重要なポイントとなります。
■4
上述しましたとおり、政令で指定されているのは6業種にすぎませんので、役務提供事業者側として利害を有しているのはほんの一握りの方かも知れません。しかし、消費者側としてこれらの取引に利害を有している方は多数おられることと思われます。今回お話ししました内容を参考に、契約締結の経緯またはサービス内容についてあれこれ思いを巡らせてはいかがでしょうか。
以上
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