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第12回 給食費未納問題
弁護士 田 中 朋 子
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小学校時代の思い出として、すぐに思い浮かぶのは給食の時間ではないでしょうか。幸い、私が通学していた小学校では、栄養士さんたちが作って下さった出来立ての美味しい給食を味わうことができ、お昼の時間を非常に楽しみにしていたことを覚えています。
ところが、最近では保護者が給食費を納めないことが多く、各学校や教育委員会等が対応に困っているそうです。給食費を納めないとどのような問題が生じるのでしょうか。
■2
学校給食は、明治22年に山形県で貧困児童の救済のために始まったのが起源です。その後、昭和27年に小学校において完全給食が実施されるようになり、さらに、昭和29年に学校給食法が制定され、学校給食に法的位置づけが与えられるようになりました。
学校給食法第6条第2項によれば、学校給食の運営経費のうち、施設設備費や人件費以外の食材費等については保護者が負担すべきことが定められています。この意味で、給食費は、完全に無料である教科書等とは異なるのです。
この点、小中学校が義務教育であることから、それに伴う給食費も無料であるかのように捉えている方もいらっしゃるかもしれません。実際に、滞納する保護者の多くが「義務教育だから払いたくない」と主張するようです。しかし、憲法第26条2項の定める「義務教育の無償」とは授業料の不徴収に留まると最高裁判例も明示しており、給食費の支払は学校教育法により支払が法的に義務付けられたものなのです。
■3
文部科学省が平成18年11月に行った調査では、平成17年度において学校給食を実施していた小中学校のうち44パーセントの学校において給食費の未納問題が生じていたそうです。さらに、問題なのは、未納の主たる原因として学校側が認識しているものの内で、「保護者としての責任感や規範意識の低下」が約60パーセントを占めたということです。
学校給食は貧困により昼食を用意できない児童の救済のため始まったことからわかるように、昔から経済的事情により給食費を納められないということは当然ありました。しかし、近年は、経済的事情による未納は約30パーセントと考えられており、不払いの性質が変化してきているのです。
「責任感や規範意識の欠如」というのは、高級外車に乗り、ブランド品を持ったり、携帯電話代を何万円も支払っているにもかかわらず給食費を支払わなければいけないという感覚がない親が急増していることをさすようです。中には、「給食を出せと頼んだ覚えがない。」、「止めれるものなら止めてみろ。」と開き直る保護者もいるとのことです。
これに対し、学校側は、督促や説明を重ねてなんとか徴収をしようとしているのですが、引き落としが7割を占める現状の下では、口座にお金が入っていなければ回収は事実上困難ということになってしまうのです。
自治体の中には、やむを得ず、調停、差押、訴訟などの法的手続をとるところも出てきています。
現在のところ、担任教師や校長等が督促や説明にあたるという方法が主流ではありますが、未納問題が続けば、学校側が本来の教育業務以外のところで労力をさかれるという問題も生じます。
■4
自分勝手な保護者が負担しないとしても、なんら責任のない子供たちにそのしわ寄せがいって、給食を与えないとするわけにもいきません。
しかし、任意の支払が期待できない場合、法的措置に訴えるのもやむをえないことかと思います。というのは、未納に対する対応として、徴収した学校給食費から実施する及び学校が他の予算から一時填補するという方法が約60パーセントをしめており、支払った子供の給食費のレベルが下がる、他の予算にも影響が出るなどの不公平が生じているからです。
他方、真に経済的に困窮している人には生活保護や就学援助の制度の活用を提案することができ、これらの中には給食費に対する手当ても含まれていることから配慮は可能です。
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前回に引き続いて、今回も親のモラルの低下に関する問題を扱ってみました。今回の話は、人の生命に関するような大問題ではないですが、このような日常レベルでのモラルの低下は、根本的なモラルの低下の発露と考えられますので、決して軽視できるものではありません。
子供は親の姿を見て育つものです。倫理的観点や給食制度の維持という政策的観点からだけでなく、教育的観点からも、教育費が任意に支払われることを望むばかりです。
以上
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