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第2回 偽メール問題と国会議員の免責特権
弁護士 井 口 寛 司
民主党の永田寿康衆議院議員が国会質問において、ライブドアの堀江貴文前社長が、武部自民党幹事長の次男へ電子メールで送金するように指示したと指摘したが、それが偽メールを根拠としたものであったことから、議員辞職を求められる問題にまで発展する事態となりました。
そこで今回は、この偽メール問題において明らかになった「国会議員の免責特権」についてお話したいと思います。
■国会議員の免責特権
憲法51条は、「両議院の議員は、議院で行った演説、討論または表決について、院外で責任を問はれない。」と定めています。これは、民主主義の根幹をなす国会において、議院内の発言や表決について免責を認めることで、議員の言論活動を保障し、国会意思の形成における国会の機能を十二分に発揮させようとしているわけです。
そして、「免責」とは、一般国民であれば負わされるべき民事上の責任、刑事上の責任が問われないということを意味します。したがって、例えば仮に今回の問題で、永田議員が、「国会質問」の場のみで、堀江氏は武部氏の次男に送金するよう指示したと断定したのであれば、これが名誉毀損に該当する問題であったとしても、この免責特権によって永田議員は、民事上、刑事上の責任を問われることはなかったわけです。議員の免責特権は、私語や野次にまで範囲内とされていますので、疑わしい事実について、推測による指摘をした場合でも、それが議院「内」であれば特に問題はなかったでしょう。
ところが、今回の件では、永田議員は、議院「外」で、これらの発言をしてしまいました。この免責特権は、あくまで「議院で行った演説」などの場合に免責されるとするものですから、院外での発言にまで免責が及ばなかったのです。
■懲罰と政治責任
しかしながら、一方で憲法58条は「両議院は、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる」と規定していて、国会法は、衆議院では40人以上の賛成で懲罰動議を出せると規定しています。
偽メール問題が、仮に議院内で行われた発言のみであったとしても、安易に偽メールを信じた過失が大きく、その行為が院内の秩序をみだしたとされれば、やはり懲罰の対象となる可能性はあったわけです。そして、懲罰には@公開議場における戒告、A公開議場における陳謝、B一定期間の登院停止、C除名の4種類が規定されていたために、除名も一時議論されていたわけです。
また、このほかに、議員には政治責任という責任が伴います。選挙民の信任を失い、再選を果たせないという責任です。しかし、議員が政治責任を追及されることは、この免責特権とは関係ないことです。また、政党に加入している限り、党内のルールによる処罰もあります。議員を党から除名することも、この免責特権とは無関係です。
永田議員が、民主党との関係もあって辞職をせまられるまでに至ったのも、結局は、この政治責任によるものだったというわけなのです。
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